A Day of My Life

藤本徹也 – S.O.S fp Director

第二回目を迎えた今回の「A Day of My Life」では、S.O.S fpのディレクターとして、シンパシー・オブ・ソウルの企画やデザインまでを幅広く手がける藤本徹也の休日に密着。ジュエリーデザインのインスピレーションは、いつも思わぬところから不意にやってきます。常に心と身体を心地よい刺激に晒しておくことが、新鮮なアイデアに巡り合うための必須条件。彼がいま夢中になっているのは、日の出と共に始める早朝サーフィンです。

この日も夜明け前に都内の自宅から愛車を飛ばし、神奈川県茅ヶ崎市の海へとやってきました。実は藤本、平日でも出勤前に湘南まで来て海に入り、その後一度自宅へと戻って車を自転車に乗り換えてから出勤するという、超アクティブな通勤スタイルを実践しているそうです。もちろんサーフィンのあとはシャワーも浴びられるように、車のトランクには温水を用意。さっぱりと汗を流した後に運転席で食べる大きめのオニギリが、なによりのご馳走なのだとか。

そういうエピソードだけを聞いていると、都内にいて仕事をしている時も、常に心は海と共にある生粋のサーファーのようにも聞こえますが、藤本はまだサーフィンを初めてから3年弱という、ピカピカの40代ビギナー。もともとスケードボードに打ち込んでいた経験もあり、横乗りは得意分野。義兄に誘われてサーフィンをはじめてみたら、すぐにのめり込んでしまったそうです。

2時間ほど波と戯れたら、すっかり心と身体がほぐれてこの少年のような笑顔。わざわざ平日に数時間早起きをしてまで、海に来ている理由がなんとなく理解できた気がします。朝の高速道路は渋滞することも多いので、後ろ髪を引かれながらも丘へと上がってきました。今日は休日ということで、このあとは自宅でのんびりできるそうですが、妻と娘が起きてくる時間に合わせて帰宅するそうです。

海から帰宅して、家族団欒のひとコマ。若いころにバンド活動をしていた藤本は、ギターを爪弾いている時も上機嫌。昔はゴリゴリのハードコアパンクバンドで活躍していたようですが、40代にもなれば、耳心地のよいナンバーもしっかりとレパートリー入りしています。特にメンズジュエリーは、音楽やサーフィンといった、カルチャーやライフスタイルとも密接に関わり合っています。そういうものをリアルに体験している者でなければ、人の心を動かすリアルなジュエリーは生み出せません。

自宅の一角には、レコードや本やジュエリーといった、藤本の好きなものが詰め込まれた趣味のスペースがあります。ここにはジュエリー制作用の作業台もあり、オリジナルジュエリー作りに没頭することも多いのだとか。娘には毎年、その一年に起きたことや見たものを象徴するシルバーチャームを作り、プレゼントしているそうです。

音楽好きが幾つになっても捨てられないのが、ギターなどの楽器と古いレコード。流石に毎日弾いたり聴いたりするようなことはありませんが、こうやってことあるごとに引っ張り出しては、大事に愛でながらほろ苦い青春時代に思いを馳せたいのです。びっしりと棚を埋め尽くすレコードコレクションに話題が及んだ途端、エンドレスなお披露目会がスタートしました。

藤本が特に好きで蒐集しているのが、日本版の帯付きレコード。「モーターヘッド 極悪ライブ!」や、「G.B.H 生存…」など、予想の斜め上をいく名作コピーライティングを見ているだけで、音楽を聴かずとも心が踊るのだとか。最近は妻と娘の前でなかなかヘヴィなサウンドのレコードをかけられず、もっぱら観賞用となっているそうです。

リビングのサイドボードの上には、藤本愛用のアクセサリーがまとめて置かれています。上品なものも、カジュアルなものも、ラグジュアリーなものも、ポップなものも、満遍なく良いと思える力の抜けた自然な感覚が、とても藤本らしいセレクションです。

Photography by Junji Hirose
Edit & Text by Shingo Sano

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