A Day of My Life

守口英秀 – S.O.S fp イセタン メンズスタイル ルクア イーレ店 店長

今回のDay of My Lifeでは、初めて東京を離れて、イセタン メンズスタイル ルクア イーレ店の守口店長の休日に密着。2歳になったばかりの子の父親である守口には、普段なかなか一人で遊びに出る機会はありません。しかしこの日はS.O.S MAGの取材ということで、久しぶりに自分一人で、行ってみたかった場所や、やってみたかったことにトライしてもらいました。
「いま一番気になっているのが、ピストバイクなんです。もともとロードバイクが好きだったんですが、いまはあまり乗れていなくて……。でも最近は、もっとシンプルな固定ギアのピストバイクが気になっていて、今日はずっと憧れていたマスターピストというお店に行ってみたいと思います」と守口。
彼が働くルクア大阪からもほど近い中津商店街に店を構えるマスターピストは、大阪屈指のピスト乗りの聖地。名物店主の“ピストじじい”こと中瀬純一さんはYouTubeチャンネルやインスタグラムで様々なピストの情報も発信しており、守口もトリックやチューンナップのイロハはしっかり予習済み。恐る恐るお店のドアを開けると、中瀬さん自ら優しく向かい入れてくれました。

「ピストって、ロードバイクと比べると構造がすごくシンプルだから、カスタムのしがいがあるし、長年愛用できそうなところがいいですよね。最近いろいろ調べていたら、トリックもいろいろあるということを知って、僕もいくつかできるようになれたらいいな思っていたんですよね」と守口。
すると中瀬さんは、「じゃあちょっとだけ近所の公園で試乗してみませんか?よくそこで練習会もやっているんですよ」と誘ってくれました。
守口が何よりもやってみたかったトリックが、後輪を固定して地面を滑らせるスキッド。シンプルながら、固定ギアの醍醐味ともいえる、激シブなトリックの一つです。中瀬さんのお手本を見ながら、早速スキッドに挑戦してみる守口。

スキッドのコツは、できるだけ重心を後輪から離して、それと同時にしっかりとギアを固定すること。慣れてくれば、ススーっと華麗に滑らせ続けられるようになります。ピストバイク世界選手権で入賞した経験をもつ中瀬さんは、身体とピストバイクとの一体感が素人目にも明らか。もはやどこまでが身体で、どこからがピストバイクかわからなくなるほど!?

一方の守口はというと、初めてのピストバイクで、全身に余計な力が入りまくっていることが素人目にも明らか……。もはやどれが右手で、どれが左脚なのかを本人すら見失ってしまうほど、頭で思っていることと、やっていることが全く噛み合いません。
「ロードバイクは何年も乗り続けているから得意な方なんですが、ギアが固定されると、ここまで感覚が変わるんですね……。一瞬で全身が筋肉痛になりました(笑)」(守口)

「ピストバイクのトリックって、想像以上に難しかったですね……。 でもこれに懲りず、また練習に来ていいですか?」と言う守口に、「もちろん。いつでも来てくださいね」と、優しいことばをかけてくれた中瀬さん。
「ピストはトリック用と、スピード用のチューンアップを自分で簡単に変えられるから、ファッションやジュエリーと同じように、その日の予定とか、気分に合わせて自由にアレンジできる乗り物なんです。夫婦やカップル、子どもと一緒に楽しんでいる人も多いですよ」(中瀬さん)
「子どもが大きくなった時に、トリックを教えて上げられるような親になれたらかっこいいなって思っているので、またいろいろ教えてください!」(守口)


MASTER PISTA
大阪府大阪市北区中津3-17-9
☎︎06-7410-8457
営業時間:13:00-20:00(19:30最終受付)
水曜定休(その他不定休あり)
https://master-pista.com/
Instagram : @911jn
Youtube : https://www.youtube.com/@pisutojijii

次に守口が向かったのは、天保山から海を隔てたベイエリア。ここは、約700メートルからなる護岸と白灯波止の一部が釣り場として開放されており、手ぶらで行っても当日にレンタルで釣り具一式が借りられて、気軽に海釣りが楽しめるとのこと。
「小学校の頃から地元の野池や川でバス釣りはやっていたんですが、最近はちょっと海釣りにも興味が出てきて。子どもが大きくなったら、一緒に釣った魚を食べたりしたいじゃないですか。だからいまからちょっと練習しておいて、いざ本番になったら、華麗に大物を釣り上げて、『パパかっこいい!』って、言わせたいじゃないですか(笑)」

しかし先ほどまでの晴天が一変、午後になると雨が降り出してきました。雨脚は夕方にかけてどんどん強まっていく予報ということで、守口にはあまり時間的余裕はありません。
「ここからでもちらほら魚影は見えているので、こういうサビキで餌を振り撒くタイプの仕掛けであれば、小さい青魚ぐらいはすぐに釣れるはずですよね。僕が普段やっているバス釣りの場合は、魚影が見えたらチャンスなんですよね。そこにトップウォーターを投げて、ちょっと誘えばバクッですよ(笑)。でも底を狙うサビキの仕掛けだとちょっと無理ですね……」

雨脚はますます強くなるばかりですが、なかなか守口の仕掛けに反応はありません。
「雨が降っているぐらいの方が、魚も活性が上がると思うんですけどね……」
この日にトライしたピストも魚釣りも、“なぜやりたかったのか” と聞けば、「子どもが大きくなったら一緒にやって、いろいろ教えてあげたいから」と答える守口。子どもに教える前に、まず自分でできるようになって、コツや上達の秘訣をアドバイスしたいのでしょう。
「サーフィンとか、スケボーとか、サッカーとか、ギターとか、子どもと趣味を共有できて、自分もうまいお父さんって、かっこいいじゃないですか(笑)。うちの子は男の子だから特に、いろいろ一緒に楽しみたいんです」

とは言いつつも、やっぱり全然釣れないです……。もう全身びちょびちょです。仕掛けをサビキから浮き釣りに変えたようですが、そういうことでもないような気がします。がんばれ、お父さん……。

もう諦めどきでは?と思っていたら、「お!引いたっ!」と声をあげた守口。勢いよく引き上げてみたらなんと!

「ただの根がかりでした(笑)」と、一生釣れない時のお決まりを綺麗にやってのけた守口。これはいいオチがついたということで、この日の釣りはこれにて終了。全身びちょびちょになった上に、まったく何も釣れませんでしたが、守口の父親らしい顔も垣間見れ、結果的になんだかよかった気もしてきます。


南港魚つり園護岸
大阪府大阪市住之江区南港南6-9-3
☎︎ 06-6612-2020
https://nankou-uotsuri-en.jp/

港から都心部に戻ってきたら、すっかり夜もふけていました。この日は1日ひとりで遊ぶと決めた守口なので、晩ご飯も外食で締めるつもりのようです。
「まだ妻と結婚する前に近所に住んでいて、よく二人で食べに行っていたアジア料理屋さんに行きたいんですよね。子どもと一緒だと、辛い料理はまずむりだし、外食自体もちょっとハードルが高いんです」
ここは阪急天神橋筋六丁目駅のすぐ近くにある、エスニック酒場 テッパン食堂スワーハ。タイ、ベトナム、バリなど、アジア各地のローカル料理とビールが楽しめる、屋台感覚の活気あふれるお店です。店の入り口にあるトゥクトゥクが目印で、都心にいながらアジア旅行気分が味わえます。早速守口がオーダーしたナシゴレン(バリ風チャーハン)とトムヤムスープ(おなじみの酸っぱ辛いスープ)が到着。タイガービールは欠かせません。

最後の来店からかなり時間を空けていたようで、お店のマスターと話し込む守口。
「ここのお店に来るまでは、あまりアジアの料理を食べたことがなかったので、最初はパクチーも食べられなかったんですが、今ではパクチーも辛い料理も酸っぱい料理も大好きです。アジア料理に関してはこの店に育てられたので、どこで食べても、物差しがもうこの店基準なんですよね(笑)」
ここでサニーレタスに包んで食べるタイプのガイヤーン(タイ風グリルチキン)が到着。これは確実にビール泥棒のメニューです。

初めてトライしたピストと海釣りはなかなかうまくいきませんでしたが、なにごとにもまずは第一歩を踏み出すことが一番大事。子どもにかっこいい姿を見せるということは、そんなに簡単なことではありません。そんなことが(雨と一緒に)身にしみて分かったことだって、今日の大きな収穫でした。
「これからもいろいろトライしていきたいですね。僕も妻も楽器が好きだから、家にはエレキギター、アコースティックギター、アコースティックベース、ピアノと、いろんな楽器があります。子どもが将来ドラムをやってくれれば、将来家族で一緒にバンドができるかもって考えると、今から本当に待ちきれないんです」


エスニック酒場 テッパン食堂スワーハ
大阪府大阪市北区菅栄町12-12
☎︎06-4801-7955
営業時間:17:00-25:00
定休日:火曜
https://svaha.owst.jp/map
Twitter : @svaha00teppan
Instagram : @teppan_svaha/

守口が毎日身に着けているアイテム。
「大振りのキーチェーンと、シルバーの指輪、ネックレスはシンパシー・オブ・ソウルのもので、バングルはスーマン・ダックワのもの。ゴールドの指輪はオーダーで作ってもらった結婚指輪です。時計はハミルトンのもので、入社したばかりのころに買ったものなので、もう12年使っているものです。文字盤に刻まれた“Without Liberty, Life is a Misery(自由なき人生なんて、惨めなものだ)”というアンドリュー・ハミルトンの名言が好きで、お守りみたいにずっと着けています。 」

※シルバーの指輪(シンパシーオブソウル)は生産終了しました。



Photography by Toyoaki Masuda
Edit & Text by Shingo Sano




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